置き去り防止システムについて

2022年09月18日(日)イベント

先日開発・導入した通園バスの置き去り防止システムですが、フジテレビさんの「日曜報道 THE PRIME」に取り上げていただきました。

当園では以前より置き去りが起きないよう、確認体制を整えておりましたが、事件の連日の報道を受け、通園バスに対して不安を感じている保護者の皆様やお子様に対して、ハードウェアによる対策を導入することを検討いたしました。

しかしながら、アメリカなどで普及している置き去り防止システムが国内ではまだ販売されていなかったこと、法律等が整うまでには時間がかかる一方で、現時点で不安を感じる方々がいらっしゃることを踏まえ、市販のIoTデバイスなどを利用してシステムを構築することにいたしました。

システムに使用しているデバイスや部材はインターネットやホームセンターで誰でも簡単に購入できるものばかりなので、作り方を紹介させていただきます。アプリのインストールやアカウントの作成など、ある程度の知識があれば1~2時間程度で組み上げることが可能です。

導入を検討される園様がいらっしゃいましたら、ご参考にしていただければ幸いです。

(耐久性などの面で、専用の装置ではないので、あくまで法律の整備や専用の装置が開発されて導入できるまでの一時的なシステムとしてお考え下さい。当園も法が整いましたら、それに合わせて専用装置への移行など対応する予定です)

 

日々の確認フロー(今回の導入システム部のみ)


1.バス用のタブレットをバスの中に持ち込み、運行を開始する
2.職員室にいる職員はバス運行中に職員室のランプが点灯していることを確認する
3.バスの運転手はバス運行後、車内最後尾にあるボタンを押し、タブレットから音が流れるのを確認する
4.運転手はタブレットを職員室に返却し、同時にランプの消灯を職員と確認する
5.消灯していない場合は再度点検を行う

 

最低限必要なデバイス・材料


〇バスの中
MESH(ボタン)
・スマートホンやタブレット
〇職員室などの室内
switchbotプラグ
・ランプ

そのほか、充電のためのケーブルなどの小物が必要です。当園ではタブレットは打刻や人数確認のために用意したものを使用しておりますが、ない場合には連絡用に使用しているようなスマートホンなどでも大丈夫です。また、IoTデバイスも紹介しているもの以外でも同様に構築することが可能です。

 

動作の流れ


1.バス到着予定時刻前に職員室のswitchbotプラグをONにし、ランプを点灯する
2.バス運行後に、車内最後尾のMESHボタンを押すとタブレットのMESHアプリに信号が届く
3.アプリからIFTTTに信号を送信する
4.IFTTTでswitchbotのプラグをOFFにし、ランプを消灯する
5.ランプが消灯したことを職員と運転手が一緒に確認する

 

1.バス到着予定時刻前にswitchbotプラグをONにし、ランプを点灯する
switchbotプラグというIoTデバイスを使用します。セットアップの方法はこちらなどをご参考ください。バス到着予定時刻よりも前にランプが点灯するように設定しておきます。タイマーの設定はこちらなどをご参考ください。
(MESH(GPIO)などを利用し、ランプを車のエンジンキーに連動して点灯させることも可能ではありますが、より高度な専門知識が必要となり、導入のハードルが高くなってしまうため、単純に時間で動作するようにしてあります)

 

2.MESHボタンを押すとタブレットのMESHアプリに信号が届く
MESHはノーコードで簡単なプログラミングができるIoTデバイスです。プログラミングをやったことがなくても、ブロックを並べてつなげるだけで簡単にプログラミングできます。下記のようなレシピ(プログラム)で動作しております。ボタンを押すとIFTTTを送信し、ボタンが押されたことがわかるように音が鳴るようにしています(音は子どもの声を録音したものを利用すれば、安全に対する意識が高まるかもしれません)。IFTTTのブロックに「イベントID」という項目がありますが、当園ではバスが2台ありますので、それぞれ区別がつくよう別の任意のIDを設定します。

アプリを起動していなくても、バックグラウンドで動作させるため、下記のようにバックグラウンドで実行するようにします。

また、当園ではタブレットを職員室まで返却するため、MESHボタンとタブレットの接続が切れてしまいます。その場合に、バックグラウンドでの動作がうまくいかなくなってしまいます。そのため、下記のようにタブレットがバス車内にある時間帯に、アプリを自動起動するようにしています。ショートカットについてはこちらなどをご参考ください。

 

3.アプリからIFTTTに信号を送信する
ボタンが押された信号を受けて、IFTTT信号を送ります。IFTTTとは、LINEやgmailなど、様々なサービス同士を組み合わせて動かすことができるサービスです。英語なので少しハードルは高いですが、プログラミングの知識などは特に必要ありません。IFTTTについてはこちらなどをご参考ください。

 

4.IFTTTでswitchbotのプラグをOFFにし、ランプを消灯する
「もし、MESHアプリからbusというIDで信号が来たら、switchbotプラグの電源をOFFにする」というアプレットを作ります。IFTTTのアプレットは下記のように設定します。MESHから信号を受け取ったら、SwitchbotのプラグをOFFにします。

 

5.ランプが消灯したことを職員と運転手が一緒に確認する
最後は職員室などの室内にいる職員とボタンを押した運転手でランプが消えたことを確認します。システムはインターネットを介するため、うまく動作しない場合がありますが、そのような場合でも、お互いに確認することで、ボタンの押し忘れなのか、うまく動作していないことにより点灯したままなのかを切り分けることができます。また、いずれの場合でも職員が再度バスの車内を確認することで、より確実に確認することができます。

 

今回、当園で導入したシステムをご紹介いたしましたが、どのような装置を導入しても、最終的には命を預かる人が、責任をもって確認することが大切です。しっかりと意識を持ったうえで、ハードウェアの力も借りながら、運営していくことが大事だと思います。