プログラミング教室(d.garten)

時代背景

近年、私たちの社会はAIを前提とした新しい時代に入りつつあります。生成AIや自動化技術は、これまでデジタルと縁のなかった業種にも急速に広がり、誰もがその恩恵を受ける時代になろうとしています。さらに、AIとロボティクスを組み合わせた「フィジカルAI」と呼ばれる分野も進化しており、アニメに登場するような「友達のようなロボット」が現実になる日も、決して遠くないかもしれません。

荒川こども園でもこれまで、保護者とのコミュニケーションアプリの導入、現金集金の廃止、見守りカメラの設置など、園運営のICT化を積極的に進めてきました。しかしながら、「保育の質」をさらに高めるため、これにとどまることなく、保育記録の自動化、個別最適な学びの支援、AIを活用した保育サポート、AIによる事務作業の効率化など、園の現場でもAI活用が当たり前になる未来を見据えて取り組みを進めていきたいと考えています。一見するとICTやAIとは距離があるように見える保育業界においても、その影響は確実に広がっています。この状況を踏まえると、AIの波はすべての業界に及ぶと言っても過言ではありません。

AIによる社会変化のみならず、時代の変化は、これまで何度も私たちの前に現れてきました。産業革命や情報革命などの技術革新によって社会は大きく姿を変え、人々の生活は豊かになる一方で、常に新しい変化への対応が求められてきました。そして、おそらく今の子どもたちが大人になる頃には、また新たな技術革新が起こり、大きな変化の波に直面することでしょう。どの時代にも技術革新は起こり、そのたびに人々は変化に向き合い、適応してきました。その中で求められるのは、やはり「柔軟さ」と「前向きな姿勢」です。技術革新は、私たちの仕事や生活を大きく助けてくれる存在です。ただし、その力を十分に活かすためには、「新しい技術を取り入れる柔軟さ」や「変化を前向きに受け入れる姿勢」が欠かせません。これは時代が変わっても普遍的に求めれる力だと思います。

 

学校教育における変化

子どもたちの学びは、いま大きく変わっています。2020年の学習指導要領改訂以降、小学校ではタブレットPCを使った授業が当たり前になりました。問題を解くだけでなく、友達と同じファイルを編集して作品をつくったり、意見をまとめたりと、ICTはすべての教科で欠かせない存在になりつつあります。2030年頃に予定されている次回改訂では、デジタル教科書の本格導入やAI活用の拡大が見込まれ、情報技術の重要性はさらに高まっていくことが予想されます。情報技術の進歩により、学習のスタイルも大きく変わりつつあります。
・瞬時に丸つけを行い、間違いをすぐに振り返れる
・デジタル教科書で動画や図解を見ながら理解を深められる
・分からない言葉をその場で検索できる
・英会話など、AIと対話しながら学べる
デジタルは「便利になる」だけでなく、子どもたち一人ひとりに寄り添った学びを実現する力を持っています。

私たちが子どもの頃は、紙の問題を解くことが当たり前でした。その経験から「ICTを使うと勉強にならないのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし大切なのは、怠けることを恐れて便利な道具を避けることではなく、使いこなしてさらに上のレベルを目指すことです。人の力だけで「10」できていたことを、ICTで「10」に置き換えて怠けるのではなく、ICTを活用することで 人の力だけでは到達できない「100」の学びに到達できるようになる。これこそが目指すべきところだと思います。
そろばんが最も効率的だった時代、電卓の登場により計算スピードはとても速くなりました。その後、パソコンの普及により、複雑な計算も一瞬でできるようになりました。そして今は、AIがさらに新しい可能性を広げようとしています。そろばんが出来なくても電卓が早く打てればそろばん以上の計算ができますし、電卓が打てなくてもパソコンを使いこなせればより高度な計算ができます。AIが使いこなせればパソコンが使えなくても複雑な作業がこなせることでしょう。子供たちに私たちと同じスキルを身につけさせたり、経験させたりすることが必ずしも正しいとは限りません。子供たちには子供たちの時代にあったスキルや経験を身につけさせるべきだと思います。

 

教室でこどもたちに身につけてもらいたいこと

これからのこどもたちは今以上にAIやデジタル技術に触れることになります。こどもたちがデジタル技術に触れる際に、嫌悪感なく、親しみをもって触れるようになってほしいです。タイピングやマウス操作などの指導も行いますが、子どもたちが大きくなったころには違った手段が普及している可能性があります。知識や技能面の習得に傾倒するのではなく、様々なデジタル技術に触れ、新しいことに興味を持ち、柔軟に取り組んでいける姿勢を身につけることを重視します。プログラミングやSTEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics)教育に限らず、言語、音楽、植物、生活など様々な内容を組み合わせて、思考力・判断力・表現力が身につくような学習内容を実施いたします。また課題に取り組む際に、1つのやり方だけでなく、いろいろなやり方に触れてもらい、1つの方法にこだわらず、状況に応じてやり方を変えられるようになってもらいたいと考えております。例えば、「お友達に手紙を書く」際に、「えんぴつで紙に文字を書く」というのは1つの手段ではありますが、「パソコンで文字を打つ」、「タブレットでペン入力する」、「音声で文字を入力する」などを色々な方法を体験させ、1つの手段だけにこだわることなく、場面によってどの方法がよいかを考えてもらいます。

教室を始めて5年ほど経ちますが、技術的な変化や実施する内容に違いはあれど、こどもたちに身につけてほしいと思うもの「新しいことに挑戦する柔軟さ」、「変化を前向きに受け入れる姿勢」は変わっておりません。

 

教室を通して育つ子供の姿 

・様々なことに対して興味を持ち、新しいことに対して楽しく取り組んでいけるような姿勢を身につけている
・友達と一緒に課題に取り組んだり、サポートしたり、ときには競争したりしながら協働的に学べる
・自分なりの論理的な思考、判断、表現ができる
・デジタル機器に慣れ親しみ、大人のサポートを受けながらも操作できるようになる
・デジタル機器を触れるために必要な周辺知識(アルファベット、足し算など)を身につけている

 

 

学習内容・教室の様子

小さなキューブ型ロボットトイ・toio™

パソコンやタブレットを使わないアンプラグドプログラミングが学べるGoGoロボット・プログラミング™や、小学校のプログラミング学習に使われるscratchと同じインターフェースで学べるtoio™ doなど様々な学習が可能な教材です。Koov®などに比べて拡張性は低いですが、その分操作がシンプルで、初めてでも楽しんでプログラミングに取り組むことができます。プログラミングに必要な順序・繰り返し・条件分岐などをかわいいロボットと共に学びます。

タブレット(ipad)

タブレットでお手紙や絵を描いたり、地球について学んだり、こども園の植物について調べてみたり、zoomでお友達と会話したりと様々な場面で活用します。toioでのプログラミングにも使用します。

パソコン

簡単なマウス操作からスタートし、絵やお手紙を書いたり、知りたいことを検索したりします。またオリジナルのタイピングソフトでローマ字入力も体験します。誰が早くクリアできるか競争すると、みんな黙々とタイピングを始めます。toioでのプログラミングにも使用します。

ワーク

タブレットを使用した文字、算数、ちえなどの学習を行います。個々の理解力に応じて学習する内容を変えながら進めます。また紙のワークでプログラミングに必要な考え方を学びます。

身の回りのものから思考力を高める

こどもたちは身の回りのものに対して、色々な疑問を持っています。「お買い物のときになんでピッてやるんだろう?」「虹ってどうしてできるんだろう?」「鳥はなんで電線のうえに立ってビリビリならないんだろう?」などなど。そんな疑問に答えてあげられるようにしたいと考えております。単に言葉で教えるだけでなく、実際に体験しながらなぜそうなるのかを子供なりに理解してもらいます。身の回りのものに興味を持つ芽を育て、将来「こんなのがあったらいいな」「こんな未来を実現したいな」といった考えを持ってそれを実現できるような大人になってほしいと考えています。

先進的な技術に触れる

先進的な技術は日進月歩で進化しています。新しい技術に対して「楽しい!」「もっとやってみたい!」という気持ちを持つことで、将来出会うさまざまな出来事にも前向きに取り組む姿勢が育ってほしいと願っています。

今の最先端はいずれ子ども達の過去になりますが、最先端を触れたときのワクワク感は大人になっても残り続けるものです。

AIやロボティクスなどの先端技術の中から、子どもたちが実際に触れて「楽しい!」と感じられる内容を考え、体験してもらうことでことで、未来に向けた柔軟な発想や挑戦する心を育んでいきます。

(お掃除ロボット、3Dプリンター、AI画像生成、ペットロボット、MESHを使った自動水やり機、どこでもドアで宇宙体験、VR体験など)

使用する教材は随時増やしています。こどもたちが今日は何をやるんだろうとワクワクし、教室で学んだ内容を帰り道やお休みの日に生活の中から発見し、自分なりに考える力を身につけてほしいと考えております。
※掲載している内容は別の新しい内容の実施により、実施しない可能性がございます。

 

実施内容

対象白組(年長) (※1)
年間実施回数全38回
曜日火曜日、金曜日 (※2)
時間14:30〜15:30, 15:40〜16:40 (※3,※4)
人数1クラス4人程度
月謝6500円 (※5)

※1: 基本的に卒園後の継続実施はございません。
※2: ご予定が合わない場合にはご相談ください。他の曜日も検討いたします。
※3: 視力への影響を考慮して、長時間のパソコン等の作業は実施いたしません。
※4: 1号認定の方は、預かり保育料は別途かかります。教室に参加している時間は除外されます。
※5: 3回の月も同額です。

 

プログラミング的思考とは?

大学生や大人向けのパソコン教室やプログラミング教室ではwordやjava scriptなどの使い方を学ぶことが重視されることが多いです。そのイメージで「幼児にプログラミングは早いのでは?」とお考えになるかもしれませんが、幼児を対象としたプログラミング教室は使い方に重きを置くものではありません(もし使い方を重視している教室があればやめておいたほうが良いと思います)。アプリやプログラミング言語は時代の流れとともに変化します。私が初めて触れたプログラミングであるBASICという言語は、今のプログラミング言語の主流ではありません。今はAI開発に適したPythonが人気だったり、プログラム自体をAIに指示して作らせる方法が流行り始めています。子どもたちが大きくなるころには、まったく別の言語や手法が主流になっていると思います。「プログラミング」という言葉も使われなくなる可能性もあります。

ただし、「プログラミング的思考」はいつの時代であっても、仮にプログラミングを行わなくても、求められるものであると考えます。論理的思考力、プログラミング的思考などとよく言われますが、具体的にどういうものかわかりにくいと思うので、日常での出来事を例に説明させていただきます。

例えば、おうちのテレビが映らなくなったとします。極端ではありますが、論理的思考力がないと、「なんか突然テレビが映らなくなった」「テレビが壊れた」で終わってしまい、実は壊れていないのに新しいテレビを買ってしまうようなことが起きてしまうかもしれません。論理的な思考が身についていれば、「リモコンでの操作が正しくできるか」「電源ケーブルは入っているか」「アンテナ線は抜けていないか」「主電源のスイッチは入っているか」という具合に、テレビが動かない考えられる理由を細かく分離して1つ1つ検証します。また、可能な限り思い込みも排除して考えることが重要です。「アンテナ線なんて触るわけないから問題ない」と思ってたら、子どもが触って抜いてしまっているかもしれません。例にあげたような思考や確認は、専門的な知識がなくてもできることです。すべての問題が解決できるわけではありませんが、「機械は苦手」という意識があったとしても、「論理的思考力」がしっかり備わっていれば、対処できる問題です。

現時点でのプログラムは、コンピュータやロボットにやらせたいことを、1つ1つ整理して漏れなく記述しなければ、正しく動作しません。また、バグの原因を探るときに、細かく分離して検証できなかったり、原因がわからないからと対処療法で問題解決をしようとすると、別の大きなバグを引き起こしてしまう可能性があります。そのため、論理的思考力がプログラミングにおいては非常に重要で、論理的思考力≒プログラミング的思考として取り沙汰されています。プログラミング的思考は日常生活においても、問題解決へのアプローチとして大変役立つスキルの一つです。

幼児のレベルでは、大人からすると間違ったレベルでの思考になるかもしれませんが、子どもなりに、こうかな?ああかな?と考えようとする姿勢が身についていれば、年齢を重ねるにつれて、洗練されていきます。

 

トライアルアンドエラー(試行錯誤)の重要性

世の中の変化のスピードが早くなってきたと言われますが、世界的な人口増加の影響のみならず、物事に対する進め方の主流が変わってきていることが大きな要因となっています。完璧なものができるまで物事を進めない、というのではなく、ある程度不完全なところがあっても、まずはやってみて、問題点を見つけて、修正するサイクルを早めて完成度をあげていく方法が主流となっています。

デジタルデバイスを使った教育のよいところの1つに、トライアルアンドエラーが容易にできることがあげられます。絵を描くときに、書き損じても、アンドゥボタンですぐにやり直しができます。トライする回数が増えるので、より洗練されていきます。私自身が子供のころは紙に描いて、消しゴムで消してやり直すことをやってきた世代なので、このやり方に違和感を感じる部分もありますが、世の中の変化を見ていると、今の子供たちはこのやり方も身につけていかないと、周りに取り残されてしまう可能性があります。失敗を恐れずに、何度も繰り返しトライすることで、よりよいものを創造できる力はとても重要です。

 

講師紹介

岡野祐太

東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻卒。修士(科学)。修士論文で専攻科長賞受賞。2009年からソニーに勤務。半導体事業本部でカメラ用LSIのアルゴリズム開発を行う。2014年からはソニーモバイルコミュニケーションズに転籍し、スマートフォンのカメラアルゴリズムや画質調整などを担当。2020年から荒川こども園の事務長として勤務。2021年からプログラミング教室(d.garten)を開始。香川県出身。